当時チャリティー大会に参加させて頂いたり、寄付をさせていただいたりはしたものの・・・私の支援はそこで終わってしまっていました。
先日、今年で8回目を数える「震災復興支援麻雀大会」にゲストで呼んでいただき、現地でいろいろな話を聞かせていただき、衝撃を受けました。
この大会は毎年日本プロ麻雀連盟のプロがゲストとして呼ばれている大会で、今年は東京から滝沢プロと私と、地元出身の及川プロがMCとして参加していました。他にも北陸本部長をはじめとした現地のプロが数名いらっしゃいました。
大会ゲストが決まり、改めて震災について検索をしたりはしたものの、現地が今どうなっているのか、人々がどのような気持ちで生活しているのか、あまりピンときていないまま被災地に向かうことになりました。
集合場所のくりこま高原駅は、水田の深い青緑が美しい、とてものどかな場所でした。
想像できませんでしたが、このあたりは「震度7」を観測したそうで、あの震災で最もゆれた場所だったそうです。
そこから車で会場に向かい、麻雀大会が開催されました。
大会自体は・・・2・1・1・1という空気を読まない大暴れで、4回終わって98.2ポイントという素晴らしい成績だったのですが。。。
決勝ボーダーがなんとピッタリ100ポイント!!ぐへーーー。残ったと思ってたーーー!!
40人中4人が、WRCルールの半荘4回で100ポイント超えとは・・・おぬしたち、なかなかやるな。
とにかくギリギリ決勝にいけず悔しい思いをしましたが、大会中に、たくさんの方が話しかけてくださり、私はとてもとても嬉しかったです^^
翌朝は南三陸町の役場に行って、大会で集まった義援金を佐藤町長にお渡ししました。
あとで聞いたのですが、町長は津波がきたときにこの防災庁舎のてっぺんにあるアンテナのようなものにつかまって、ものすごい津波の勢いに耐えて助かったそうなのです。
この防災庁舎の屋上の床上2メートルの高さまで、津波が襲ったとの事。屋上に避難していても、手すりなどにつかまっていた方が何人も流されて犠牲になりました。
こちらの方は、南三陸町に新しくオープンした生涯学習センターの館長さんです。地域の子供たちには「トトロ館長」と呼ばれているそうです。
この方、なんと前日の大会で予選4連勝、決勝も力強いトップをとって優勝した方なのです!!
大会翌日に生涯学習センターを見学させていただきましたが、木のいい匂いとマイナスイオンに包まれた、本当に素晴らしい施設でした。図書館をはじめとして、地域の人たちが使える施設で、私も近所にあったら通いたいくらい。料理教室ができる大きなキッチンなどもあり、とにかくすべてが最先端でおしゃれな場所でした。
そこで、館長さんから震災当日の話を聞きました。
私は衝撃を受けたと同時に、今までの自分の無知や、どこか他人事だったことをすごく恥ずかしく思いました。それでこんな長いブログを書こうと決めたのです。
館長さんは、「九死に一生を得る」とはまさにこのことか・・・と思わせる経験をされた方でした。
地震発生後、役所のマニュアルに従って水門を閉めに行こうとしたが、津波がきて引き返し、車ごと津波にのまれたそうです。
車はエンジンの重さで前が沈み、後ろが水面に出ているような状態に。ガラスを割ろうとしても、ハンマーでもあれば別ですが素手ではなかなか割れません。あらゆるものが流されていく中、車の中に閉じ込められてしまいました。しかし、沈んでいく車にがれきが当たり、どうやら後ろのガラスにひびが入ったようなのです。必死のひじ打ちでガラスを突き破り、車から脱出。
そのころには、あたりはこんな状態です。
そして次の写真を見てください。電柱から電線がななめに濁流の中に下がっているのがわかりますか?
よく見ると、電線の先から黒い丸いものが出ています。
これが・・・館長の足先です。電線を手に巻き付き、濁流にのまれないよう必死で顔を水面に出して息をしようとしますが、たぶん2〜3分は水の中から顔を出せなかったりもしたようです。特に、津波が引いていくときの水の力はものすごくて、がれきが顔の横をかすめて過ぎていきます。直撃したらアウトです。
そして津波が引いたとき・・・
館長さんんの姿が現れました。
よく見ると、結構雪が降っています。3月初旬の東北は、寒かったでしょうね。
このあと、夜暗い中山を登り、避難所にたどり着いたそうです。津波から逃れられた方の中にも、寒くて暗いので翌朝避難しようとして、夜のうちに寒さで命を落としてしまった方がたくさんいたそうです。
「当時の話をすると『命が助かってよかったですね』と声をかけられるけれど・・・地域の人たちが、仲間が、大勢亡くなってしまった。自分は助かったが、「よかった」という気持ちにはなれない。」とおっしゃっていました。その通りですよね。
誰かに何かが起こった時、寄り添いたいと思っても、なかなかその人の気持ちを完全に理解することは難しくて。でも年を重ね、もっともっと経験して、少しでも人の気持ちに寄り添える人間になりたいと強く思いました。
「助かった命をどう使うか、ものすごく考えた。自分は役所の人間だということもあるし、『地域の人たちを少しでも笑顔にしていきたい』と思う。」その言葉がとても重く感じました。
地域の方たちが、トトロ館長のいる生涯学習センターに訪れて、たくさんの笑顔を見せてくれるといいですね。
私は何ができるかな。どう生きるのかな。
とにかく、一歩目として自分が見たもの感じたことを伝えたいと思い、長いブログを書かせていただきました。
読んでくださってありがとうございました。